相続・資産承継コラム

相続対策に必要なのは全体像を把握する視点!分野の壁を越えた提案を

2025年01月18日 11:45

「相続における全体最適の重要性とは?」


相続は法務・税務・不動産・保険など、非常に多岐にわたる分野を包括しています。そのため、適切な対策を講じるためには、全体を俯瞰する視点が不可欠です。しかし、これがいかに難しいかを実感される方も多いのではないでしょうか。



1. 専門家の分野に偏りがある現実


相続の分野に精通している専門家は限られています。例えば、税理士の場合、多くの方は所得税や会計の分野を得意としていますが、相続税に精通している税理士は少数派です。これは次のような理由によります。

相続税申告の頻度の低さ

相続は人生に一度しか起こらないものであり、相続税が発生するケースは全体の1割程度。確定申告や会計業務に比べ、その需要は非常に限られています。

携わる件数の偏り

全国の税理士登録数と年間の相続申告件数を比較すると、税理士一人あたりの相続案件数は年間約1.5件です。その中でも、相続税申告を得意とする税理士が多くの案件を集中して扱っているのが現状です。



2. 分野間で起こる課題


相続に関わる専門家は税理士だけではありません。司法書士、不動産業者、保険営業など、それぞれの分野に専門家がいますが、専門家が見つかったしても以下のような課題が存在します。

一から説明する手間

各分野の専門家に対して、自身の財産状況や家族構成を一から説明するのは、非常に手間がかかります。

意見の不一致

専門家ごとに異なる意見やアプローチが出てくることが多く、どの意見を採用すべきか迷ってしまうことがあります。

状況例:相続税の負担を軽減するために贈与を検討するケース。

税理士の意見:「早めに生前贈与を進めるべきです。」

弁護士の意見:「特定の相続人に贈与すると遺留分侵害請求が発生するリスクがあります。」

結果:贈与の実行をためらい、結果的に最適なタイミングを逃してしまう。

サービスの限界

1人の専門家にすべてを任せても、その方の専門分野を超える提案は期待しづらく、「木を見て森を見ず」の状態になりかねません。



3. 必要なのは「全体像を把握する視点」


相続対策の難しさは、多くの分野が関係するため、全体を見渡すことが容易でない点にあります。専門家であっても、自分の得意分野に偏った提案になりがちです。そのため、次のような視点が重要です。

全体を俯瞰する力

すべての分野をつなぎ合わせ、全体のバランスを考えた提案が必要です。

家族全体の状況を考慮

相続対策は、財産だけでなく、家族の絆や将来を見据えて計画することが大切です。

一貫したサポート体制

各専門家が連携して、依頼者に最適な提案を提供できる体制を整えることが求められます。



4. まとめ:全体最適を目指す相続対策を


相続は「木を見て森を見ず」になりがちなテーマです。しかし、今では多くの情報や対策が用意されており、それを活用することでご家族ごとに最適な解決策を見つけることが可能です。


そのためには、部分的な専門分野にとどまらず、全体像を把握し、ご家族の思いや将来のビジョンを踏まえた上で最適な計画を立てることが重要です。専門家を選ぶ際には、全体のバランスを意識してサポートしてくれる方を見つけ、信頼して相談できる環境を整えることが、成功の鍵となります。


相続は、家族の未来を考えるきっかけでもあります。だからこそ、全体最適を意識した対策を進めてみてはいかがでしょうか?

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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太