相続・資産承継コラム

共有相続した不動産、どう解消する?話し合いで未来を守る選択を

2024年12月16日 16:26

不動産を共有相続してしまうと、兄弟姉妹や親族間で「売りたい派」と「売りたくない派」に分かれることがあります。この状況を放置すると、次世代に問題を先送りしてしまい、さらに解決が難しくなる可能性があります。特に、相続を繰り返すことで共有者が増えたり、共有者の高齢化や認知症のリスクが発生したりすると、問題の解消が非常に複雑になります。将来のトラブルを防ぐため、今話し合いができるうちに、共有状態の解消を目指すことが大切です。


共有状態の解消方法


1. 誰か1人が単独名義にする(持分買取)

他の共有者の持分を買い取ることで、単独名義に変更する方法です。これにより、共有状態が解消され、不動産を自由に活用できるようになります。

課題:まとまった資金が必要になるため、資金調達がハードルとなることがあります。


2. 共有者全員で第三者に売却

不動産を一括で第三者に売却し、得られた代金を共有者間で分割する方法です。共有者全員が同意すれば、スムーズに解消できます。

課題:売却価格への合意や、売却にかかる費用を調整する必要があります。


3. 賃料の支払いで合意を図る

不動産を利用している共有者が、利用していない共有者に賃料を支払う方法です。この場合、共有状態は維持されますが、利用者と非利用者の関係を整理できます。

発展案:賃料支払いの代わりに、将来的に**遺言書で持分を譲る(遺贈)**という合意をしておく方法も考えられます。


話し合いのポイント:資産価値と家族の絆、どちらを優先するか?


これは、共有状態にある不動産をどうするか考える際に、多くの方が直面する重要なテーマです。ほとんどの場合、不動産が共有状態になっているのは相続が原因です。先祖から大切に受け継がれてきた資産が、親族間の争いの火種になることは、誰も望んでいないはずです。


共有不動産をどう扱うかの話し合いでは、つい「どのように財産を分けるか」という視点に偏りがちです。しかし、それ以上に大切なのは、家族の絆や信頼関係を守ることではないでしょうか。不動産そのものは、後世に売却したり利用したりすることで資産価値を取り戻せる可能性がありますが、一度失われた家族の関係性を取り戻すのは簡単ではありません。


相続によって共有状態となった不動産は、先祖が家族を支え、守ってきた証ともいえる財産です。それが原因で家族が分裂してしまうのは、本来の意図とはかけ離れた結果になってしまいます。だからこそ、共有不動産を解消する際には、「資産としての価値」だけでなく、「家族の絆をどう守るか」をしっかりと考えることが重要です。


家族全員が納得できる結論にたどり着くためには、感情や考え方の違いを丁寧にすり合わせる必要があります。資産を守るのか、家族の関係を優先するのか。そのバランスをどう取るのかは、それぞれの家族にしか分からない答えです。


しかし一つ言えるのは、先祖が大切にしてきた不動産は、単なる「資産」ではなく、家族の歴史や絆の象徴でもあるということです。その意味を尊重しながら、次世代に受け継いでいく方法を冷静に話し合うことが、最も望ましいのではないでしょうか。


共有状態を放置するリスク


共有状態をそのまま放置すると、次世代に問題を先送りしてしまうだけでなく、新たなトラブルが発生する可能性があります。


1. 相続による共有者の増加

共有者が次世代に引き継がれることで人数が増え、話し合いがより難しくなります。

2. 高齢化や認知症リスク

共有者が高齢化し、認知症などで判断能力を失うと、不動産の活用や売却が事実上困難になる場合があります。

3. 資産価値の低下

不動産が共有のまま管理が不十分になると、資産価値が下がり、売却や活用がさらに難しくなる可能性があります。


次世代のために今できること


将来のトラブルを防ぐためにも、今共有者全員が話し合えるうちに、最適な解消策を考えましょう。専門家に相談しながら選択肢を整理し、共有者全員が納得できる解決策を見つけることが大切です。


「家族を守る」「次世代に負担をかけない」ための相続対策は、今が始めるチャンスです。家族みんなが将来に笑顔で向き合えるような解決策を一緒に考えていきましょう。

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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太