遺言書に大切な想いを込めて:付言事項の意義と魅力
2024年12月15日 16:44
遺言書と聞くと、多くの方は「財産の分け方を記したもの」という印象を持つかもしれません。しかし、本来の遺言書はそれだけではありません。遺言書には、財産の分け方だけでなく、それに込めた想いや考え方を伝える「付言事項」を書き残すことができます。この付言事項こそ、遺言書を単なる法律文書ではなく、心のこもったメッセージに変える重要な部分です。
付言事項とは何か?
付言事項は、遺言書を書くに至った経緯や、財産の分け方を決めた理由、一番伝えたい想いを記すことができる自由な部分です。付言事項には特に法的な要件などはありません。
お金や不動産だけが財産ではないはずです。人生で培ってきた価値観や考え方、大切にしてきた想いもまた、立派な「財産」です。この想いを言葉として書き残すことで、受け取る人にとって遺言書はより深い意味を持つものとなります。
例えば、こんな内容を書くことができます:
• 「なぜこの財産分配になったのか」
「長男には家を託しますが、それは家族を守る役割を果たしてくれると信じているからです。」
• 「家族への感謝や願い」
「これまで支えてくれた家族に心から感謝します。これからも仲良く助け合ってください。」
• 「伝えたい教訓や価値観」
「私は勤勉さと誠実さを大切に生きてきました。この考えを次世代に引き継いでほしい。」
付言事項を書くことで何が変わるのか?
付言事項を書くことで、遺言書は財産分けにとどまらず、家族へのメッセージとなります。これにより、相続人は単なる権利として財産を受け取るのではなく、亡くなった方の想いや考えを理解したうえで、感謝の気持ちを持って受け取ることができるでしょう。
さらに、遺言書に込められた想いが明確になることで、相続人同士のトラブルを避ける助けにもなります。「なぜこう分けたのか」という理由が明確であれば、納得感が生まれ、家族間の対立を未然に防ぐ効果も期待できます。
遺言書を書くときのポイント
遺言書を書くとき、つい財産の分け方をどうするかから考えがちです。しかし、それを決める前に、自分が何を伝えたいのか、どんな想いを遺したいのかを考えることが重要です。
例えば、こんなふうに始めてみてはいかがでしょうか:
1. 自分が家族に伝えたい想いや考えを書き出す
「家族が笑顔で過ごせる未来を願っている」「お互いを思いやる心を大切にしてほしい」といった想いを文章にしてみましょう。
2. それをもとに財産の分け方を考える
想いや価値観に基づいて、誰にどの財産を託すべきかを決めていきます。
まとめ:遺言書は「想い」を伝える手紙でもある
遺言書は、単なる財産分割の指示書ではなく、大切な人たちに想いを伝える手紙でもあります。「付言事項」を活用することで、遺言書は受け取る人にとってより意味深いものになります。財産の分け方を考える前に、「自分の人生で大切にしてきたこと」「家族に伝えたい想い」から書き始めてみてはいかがでしょうか。それはきっと、あなたの想いを次世代に繋ぐ大切な贈り物になるはずです。
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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太