2024年から贈与が変わる!7年間の相続財産組み入れルールとは?
2024年12月06日 14:04
2024年1月から、贈与税と相続税の一体化を目指した新たな制度が施行されています。
この改正では、生前贈与が相続税の計算に影響を与える期間が、従来の3年から7年に延長されることが大きなポイントです。このルール変更により、生前贈与を活用した相続対策の計画が大きく変わる可能性があります。
1. 変更の概要:7年間の組み入れルール
• 改正前(2023年まで):
相続発生前3年間に行った贈与は、相続税の計算において相続財産に組み入れられる。
• 改正後(2024年以降):
相続発生前7年間に行った贈与が、相続財産に組み入れられるようになります。
2. 具体例で見る新ルールの影響
ケース1:2023年中に贈与を行った場合
• 贈与時期:2023年12月に贈与を行なった。
• 相続時期:2029年12月(6年後)に相続発生。
• 組み入れ対象:この贈与は、改正前の「3年間」のルールに従い、相続税の計算において相続財産には入りません。
ケース2:2024年中に贈与を行った場合
• 贈与時期:2024年1月に贈与を行なった。
• 相続時期:2029年1月(6年後)上記と同時期に相続発生。
• 組み入れ対象:この贈与は新ルールの「7年間」の対象となり、相続財産に組み入れられる。
3. 対策を講じるポイント
(1) 長期的な計画の重要性
• 7年間が対象となるため、生前贈与を行う場合、相続までの期間を見越して長期的な計画を検討する必要があります。
(2) 特例贈与の活用
• 教育資金の一括贈与や結婚・子育て資金の一括贈与など、一定条件下で非課税となる贈与制度を検討する。
(3) 相続時精算課税制度の検討
• 相続時精算課税制度の非課税枠(110万円)の活用を検討する。
4. 生前贈与の新制度と家族の物語
1. 家族の背景
田中家は穏やかな子なし夫婦の家庭。夫の一郎さん(65歳)は、妻の恵子さん(63歳)と二人三脚で築き上げた持ち家と数百万円の預金を持っていました。一郎さんは、自分たちの財産がいずれ恵子さんの生活を支えるために使われることを願っていましたが、最近のニュースで耳にした**「2024年からの贈与税の新ルール」**に頭を悩ませるようになります。
2. 田中家が直面した課題
一郎さんの気がかりは、自分が亡くなった後の財産が妻の恵子さんのもとにきちんと届くかということ。特に、兄弟姉妹が相続権を持つことがトラブルの火種になりかねないと考えていました。
ある日、一郎さんの兄弟からこんな言葉が。
「この家、昔から田中家が守ってきたものだろう?俺たちも相続の権利を考えたいと思っているんだが。」
一郎さんは、この言葉が胸に引っかかり、すぐに税理士に相談を決めました。
3. 税理士からのアドバイス
税理士の説明によると、2024年からは生前贈与が相続税に影響する期間が3年から7年に延びるため、早めに計画を立てることが重要とのこと。
「一郎さん、贈与で財産を少しずつ恵子さんに渡しておくのは有効です。ただし、2024年以降の贈与は7年間相続財産に組み入れられることになるので、その影響も考えたほうが良いですね。」
4. 家族での決断
一郎さんは、贈与税の非課税枠(年間110万円)を活用して少しずつ財産を恵子さんに移転し、万が一の際にもトラブルを最小限に抑えたいと考えました。また、次のような対策も取り入れることにしました。
1. 持ち家については遺言書を作成し、全て恵子さんに相続させる。
2. 生命保険を活用して、兄弟姉妹には保険金で代償分割を行う資金を準備。
3. 財産管理を簡略化するため、預金の一部を贈与し、妻名義で管理を始める。
5. 数年後に訪れた現実
数年後、一郎さんが不慮の病で亡くなりました。一郎さんが生前に遺言書と贈与計画を整えていたおかげで、恵子さんは持ち家を守りながら生活を続けることができました。
一方で、一郎さんの兄弟から少しだけ不満の声が上がったものの、贈与計画に基づき代償金が支払われたことで、大きなトラブルには至りませんでした。
6. この物語から学べること
この田中家のケースでは、以下のような重要なポイントが浮き彫りになりました。
1. 生前贈与と遺言書の組み合わせが有効:
• 2024年のルール改正により、贈与の計画的な実施がさらに重要となる。
2. 代償分割を見据えた生命保険の活用:
• 配偶者だけでなく、兄弟姉妹への配慮を含めた計画がトラブルを回避。
3. 専門家の早期相談が鍵:
• 専門家のアドバイスを受けることで、家族に最適な対策を見つけられる。
ーーまとめーー
「7年間の相続財産組み入れルール」という変更は、家族の資産承継に新しい課題を生みます。
しかし、それは一方で、計画的に財産を移転し、トラブルを防ぐ機会でもあります。この物語のように、早めに準備を進めておけば、大切な人を守りながら、家族間の平和を維持することが可能です。
相続や贈与についての不安がある場合は、早めに専門家に相談し、家族にとって最適なプランを一緒に考えることをおすすめします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太