認知症を患った親に代わって実家を売却するには
2024年11月22日 18:56
親が認知症を患い、自分で判断や財産管理ができなくなった場合、その不動産の売却は家族にとって大きな課題となります。
介護費用や施設入居費用を捻出するために実家を売却したいと思っても、認知症の親が名義人である以上、法律上の手続きが簡単ではありません。
認知症による「判断能力の欠如」は、不動産の売買契約を成立させる上で大きな障害となり、法律が定める適切な手続きを経る必要があります。
以下に主要な方法と手続きの流れを解説します。
1. 家庭裁判所への申立て:後見人の選任
• 家庭裁判所に申立てを行い、後見人が選任されます。
• 後見人には家族が選ばれる場合もありますが、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。
成年後見制度を利用する際、後見人が選任されるまでにかかる期間は、一般的に1~3か月程度です。ただし、家庭裁判所の混雑状況や申請書類の準備状況によっては、それ以上かかる場合もあります。
2. 後見人が選任される:後見人の依頼で不動産の販売活動
• 家庭裁判所が後見人を正式に選任すると、本人に代わって後見人が媒介契約を結び不動産の販売活動を行います。
• 一般的に買主が見つかるまでの期間は1~3か月程度です。
3. 不動産売買契約締結:家庭裁判所へ不動産売却の許可を得る
• 後見人が本人に代わって不動産売買契約を行います。
• ただし不動産売却には、後見人だけの判断で行うことはできず、家庭裁判所の許可が必要です。
• 売却の目的が本人の利益を守るためのものであることが重要です。
• 一般的に許可を得るまでの期間は4〜6週間程度です。
4. 不動産の引き渡し:売買決済
• 家庭裁判所の許可を得た後、不動産の引き渡し手続きを行います。
• 売却代金は後見人が管理し、親の介護費用や生活費に充てます。(自由に使えるわけではありません)
5. 裁判所への報告:初回報告・定期報告
• 初回報告:後見人選任後、最初の報告を求められます。
• 定期報告:1年に1回が一般的ですが、ケースによっては半年に1回や特別報告が求められる場合もあります。
認知症を患った親に代わって実家を売却するには、最低でも6ヶ月以上の期間を要します。
さらに売却したから終わりということはありません。成年後見人等はその事務について家庭裁判所に報告するなどして、家庭裁判所もしくは成年後見監督人等の監督を受けることになります。
仮に弁護士や司法書士等の専門家が選任された場合は、原則本人が亡くなるまで報酬が発生します。
※成年後見制度は途中でやめることは出来ません。
ーーまとめーー
成年後見制度は、認知症や判断能力の低下により、自分で財産管理や法律行為を行えなくなった場合に利用する制度です。しかし、利用には手間や制約が多いため、可能であれば事前に対策を講じることが重要です。
事前対策を検討することで、柔軟かつ効率的な財産管理が可能になります。しかし事前の準備には専門的な知識が必要なため、専門家に相談し、家族の状況に合った最適なプランを設計することをおすすめします。
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相続・不動産の相談窓口 合同会社 エボルバ沖縄 棚原 良太