相続・資産承継コラム

相続の分け方ガイド:現物・換価・共有・代償分割の違いを知ろう

2024年11月13日 17:09

相続財産の分け方ひとつで、家族にかかる税負担や将来の資産管理が大きく変わることをご存じでしょうか?相続には、現物分割・換価分割・共有分割・代償分割の4つの分割方法があり、それぞれに異なるメリットとデメリットがあります。例えば、現物分割でそのまま資産を引き継ぐ方法もあれば、不動産を売却して現金に換え、公平に分ける換価分割の方法も。各方法の特徴を理解することで、家族全員が納得し、スムーズな相続を実現することができます。ここでは、相続の4つの分割方法について具体例を交えながら、どのように活用できるかを解説していきます。


1. 現物分割


概要:現物分割は、相続財産をそのままの形で分ける方法です。不動産や預貯金、株式などの財産を、そのまま相続人に分け与えます。


具体例:父親が不動産(評価額6,000万円)現金(1,000万円)を残して亡くなりました。相続人は母と2人の子供です。

母が不動産を相続、子供2人がそれぞれ500万円ずつ現金を相続する形にしました。


メリット

• 分割方法がシンプルで、各相続人が直接財産を取得できます。

• 不動産や株式などの資産をそのまま単独名義で保有することで、資産の管理・維持がしやすくなります。


デメリット

• 公平な分割が難しい場合があり、特に不動産のように分割が困難な財産は不平等が生じやすいです。

• 特定の相続人が高額な資産を受け取ると、他の相続人との間でトラブルが起きる可能性があります。



2. 換価分割


概要:換価分割は、相続財産を一度売却して現金化し、その売却代金を相続人で分配する方法です。


具体例:父親が不動産(評価額3,000万円)と株式(評価額500万円)、現金(500万円)を残して亡くなりましたが、相続人である母と2人の子供の間で不動産を誰が取得するか決まらなかったため、不動産を売却して換価分割することにしました。


• 不動産を3,000万円で売却し、現金や株式と合わせて4,000万円を母と2人の子供で分け合い、母が2,000万円、子供2人がそれぞれ1,000万円を相続する形にしました。


メリット

• 財産を現金にするため、相続人間で公平に分配しやすく、分配のトラブルが少ないです。

• 売却で得た現金をすぐに分配できるため、相続税の納税資金を確保しやすくなります。


デメリット

• 売却に伴う譲渡所得税などが発生する可能性があり、純粋な財産価値が減少することがあります。

• 思い入れのある不動産や資産を手放す必要があり、相続人の意向にそぐわない場合があります。



3. 共有分割


概要:共有分割は、相続財産を相続人の共有財産とする方法です。たとえば、不動産の所有権を相続人全員の共有名義とします。


具体例:父親が所有していた自宅(評価額4,000万円)を、相続人である母と2人の子供が共有名義で相続することにしました。

母が2分の1、子供2人がそれぞれ4分の1ずつの共有持分で相続し、3人で不動産を所有することにしました。


メリット

• 財産を分割せずに保有できるため、相続人がそれぞれ所有権を持ち続けられます。

• 不動産を共有名義にすることで、現物を維持したまま分割できるため、分割しにくい財産にも対応可能です。


デメリット

• 意思決定が必要な際、共有者全員の同意が必要となり、トラブルや関係悪化のリスクがあります。

• 相続人がさらに相続を重ねると、共有者が増え、管理や売却がさらに難しくなる可能性があります。



4. 代償分割


概要:代償分割は、一部の相続人が相続財産を取得し、その代わりに他の相続人へ現金などの「代償金」を支払うことで分割を行う方法です。


具体例:父親が自宅(評価額4,000万円)と現金(1,000万円)を残して亡くなりました。相続人である母と2人の子供は、母が自宅を相続子供2人がそれぞれ500万円を相続することになりましたが、平等性を保つために、母が自宅を相続する代わりに、子供2人に500万円ずつの代償金を支払うことにしました。


メリット

• 財産を受け取った相続人が代償金を支払うため、他の相続人も公平に分配を受けられます。

• 特定の財産(例えば不動産など)を単独で取得したい相続人がいる場合に有効で、財産の分割と公平性が両立します。


デメリット

• 代償金を用意する資金が必要であり、受け取った財産の価値が高い場合には、支払い負担が大きくなることがあります。

• 代償金の支払い額や条件が合意されない場合には、相続人間のトラブルに発展する可能性があります。



ーーまとめーー


相続財産の分割方法によっては、適用可能な税制特例の活用が難しくなってしまうケースもあります。例えば、特定の分割方法を選ぶと小規模宅地等の特例や相続空き家の特別控除が適用できなくなることがあり、最終的な税負担が予想以上に大きくなることもあります。


こうしたリスクを避けるために、分割方法を選ぶ段階から専門家に相談することをお勧めします。専門的なアドバイスを受けながら進めることで、家族全員にとって最も負担の少ない相続を実現することができます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太