相続・資産承継コラム

生前贈与で未来の安心を!相続税を減らす5つの有効な方法

2024年11月07日 16:16

大切な家族に資産をスムーズに引き継ぎ、将来の安心を届けたい。そんな思いから『生前贈与』を活用することで、相続税の負担を減らし、円滑な資産承継が実現できます。生前贈与には、年間110万円の非課税枠を利用した少額の贈与や、住宅取得資金や教育資金の贈与など、さまざまな方法があり、計画的に進めることで大きなメリットが生まれます。ここでは、家族のために資産を賢く引き継ぐための5つの有効な生前贈与の方法をご紹介します。生前から準備を始め、未来の安心を家族とともに築きましょう。


1. 贈与税の基礎控除(年間110万円)


• 日本では、贈与税の非課税枠として年間110万円が設けられています。この基礎控除額以内であれば、誰に贈与しても贈与税がかかりません。例えば、子供や孫に毎年110万円ずつ贈与することで、数年かけて資産を分散させながら相続税の課税対象を減らすことができます。10年間にわたって毎年110万円を贈与すれば、合計1,100万円の資産を税負担なく移転できます。ただし、これはもらう方が基準で、年間110万円までもらう事に税金がかからないという事に注意が必要です。


活用のポイント


複数年にわたる贈与の計画:生前贈与の効果は長期的に見て現れるため、贈与を複数年に分けて行うと効果的です。10年、20年と続けていけば、無理なく大きな資産を家族に移転できます。


贈与の記録を残す:贈与が正式に成立したことを証明するために、毎年の贈与について記録を残しておきましょう。銀行振込での贈与や贈与契約書の作成により、計画的な贈与の証拠になります。


2024年からの贈与は7年間は相続財産に:相続税の課税対象となる「生前贈与加算」の期間が、従来の3年から7年に延長されました。これにより、被相続人が亡くなる前7年以内に行われた贈与は、相続財産に加算され、相続税の計算対象となります。7年前の贈与まで遡って相続財産に対象になりますので、非課税枠に捉われない贈与も有効になります。


2. 相続時精算課税制度


• 大きな財産を早めに贈与したいと考える場合に有効な制度です。この制度を活用することで、60歳以上の父母や祖父母が20歳以上の子や孫に対し、生涯で2,500万円までを非課税で贈与することが可能です。ただし、相続時に贈与分が相続財産に加算され、相続税が再計算されるため、計画的な利用が重要です。


活用のポイント


将来的に価値が上がる資産を贈与する:相続時精算課税制度を利用する場合、タイミングが重要です。贈与を行う財産の評価額が上がる前に贈与することで、相続時に加算される際の評価額を低く抑えられます。不動産や株式などの価値が上昇する可能性のある資産を早めに贈与することで、相続税の負担を軽減できます。


相続財産が基礎控除内に収まる場合の節税効果:相続時精算課税制度で贈与した財産は相続時に加算されますが、全体の相続財産が基礎控除内に収まる場合は、相続税の負担を気にせず贈与が可能です。相続時に加算されても基礎控除内であれば相続税は発生しないため、無税での資産移転が可能です。


相続時精算課税制度を一度選択すると、暦年課税制度には戻れない:この「暦年課税制度には戻れない」制約があるため、相続時精算課税制度を選択する際には、長期的な計画が求められます。たとえば、暦年課税の110万円の非課税枠を毎年利用して少額ずつ贈与するメリットと、相続時精算課税制度の2,500万円の非課税枠を早期に利用するメリットをよく比較して、どちらが将来的に相続税対策として効果的かを検討する必要があります。


3. 教育資金の都度贈与


• 子や孫の教育資金を必要なときにその都度贈与する方法で、贈与税がかからないケースがあります。具体的には、親や祖父母が子や孫に対して教育費を直接支払う場合、それが「通常必要と認められる範囲の教育費用」であれば、贈与税の課税対象とはならないため、非課税で贈与が可能です。


活用のポイント


・通常必要と認められる範囲の教育費用:幼稚園、小中高、大学などの授業料や入学金、教材費、交通費など、子供や孫の学業に直接関係する費用は非課税で贈与できます。これには、塾や習い事などの費用も含まれることが多く、将来の教育費負担を軽減する手段として有効です。


・まとめて贈与はNG:教育資金を非課税で贈与するためには、親や祖父母が学校や教育機関に支払いが必要な都度、贈与をしなければなりません。まとまった現金を直接、子や孫に渡すと贈与とみなされる可能性があるため、「教育費として必要な度に支払う」ことを明確にしておくことが重要です。


・教育資金として使った証拠を残す:万が一の確認に備えて、支払いの領収書や通帳の記録を残しておくと安心です。支払いが教育費であることを証明できれば、将来の贈与税対策としても安心です。オススメは親や祖父母が直接学校や教育機関に支払えばより安心でしょう。




4. 住宅取得等資金の贈与

 

• 住宅取得等資金の贈与は、親や祖父母が子や孫に対して、住宅購入や新築、リフォーム資金を援助するために贈与を行う際に活用できる特例制度です。この特例を利用すると、一定の要件を満たせば、贈与税が非課税となるため、相続税対策や家族支援としても有効です。


活用のポイント


・受贈者(貰う人)の年齢:贈与を受ける人(子や孫)は、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること。


省エネ住宅:1,000万円まで(例:耐震性や省エネ基準を満たした住宅)


一般住宅:500万円まで


贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住する事:又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。 (注)贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、原則としてこの新非課税制度の適用 を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。



5. 生命保険を利用した非課税枠


生命保険を利用した非課税枠は、相続時に現金を非課税で遺すための有効な手段です。生命保険金には、相続税の非課税枠が設定されており、法定相続人1人あたり500万円まで非課税となります。これにより、現金を効率よく相続人に残せるため、相続税対策や家族の生活支援として活用できます。


活用のポイント


現金をスムーズに遺す:相続時には、すぐに支払う必要のある税金や葬儀費用、生活費などの支出が発生します。生命保険金は受取人が指定されていれば、遺産分割を待たずに現金として受け取ることができるため、相続人にとって大きな助けになります。


相続税の非課税枠を利用して節税:法定相続人1人あたり500万円までが非課税となるため、複数の相続人がいる場合には非課税枠がその人数分に増え、より多くの現金を非課税で残すことが可能です。例えば、法定相続人が3人いる場合、500万円 × 3人分=1,500万円までが非課税になります。


遺産分割協議を避けられる:生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の計算に含まれますが、遺産分割の対象にはなりません。これにより、相続人間での争いが起きにくく、スムーズな相続が進められます。



ーーまとめーー


生前贈与の有効活用は、相続税の負担を抑えつつ、家族の生活を支援するうえで大きな効果を発揮します。贈与方法ごとの特徴を理解し、家族のニーズに合った最適なプランを計画的に進めることで、円滑な資産承継が実現します。専門家のアドバイスを活用しながら、確実で効果的な贈与を行いましょう。

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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太