相続・資産承継コラム

実家の相続を安くするには?

2024年10月30日 16:00

「家や土地の相続、ちょっとした工夫で税金が大幅に安くなるとしたら?」


実は、不動産の相続税評価には様々な優遇措置がいくつもあります。適切な評価方法を知っておくと、相続税の負担がグッと軽減される可能性があるのです。家族の大切な財産を守りつつ、相続税も節約するために今からできる対策を知っておきましょう。


今回は小規模宅地等の特例を取り上げたいと思います。



小規模宅地等の特例は、相続税を軽減するために非常に重要な制度です。この特例を適用すると、一定の条件を満たす土地に対して評価額を大幅に減額でき、相続税の負担を大幅に軽減できます。特に、自宅や事業用の土地など、家族が生活や事業で使用している土地に対して有効です。


小規模宅地等の特例の概要

この特例は、一定の要件を満たした場合、相続税評価額の80%または50%が減額される制度です。減額割合や面積の上限は、土地の用途によって異なります。


1. 適用対象と減額割合


特定居住用宅地(自宅の土地):自宅として使用していた土地に対して、330平方メートルまで80%の減額が適用されます。たとえば、被相続人と同居していた家族が引き続き居住する場合などに利用できます。


特定事業用宅地(事業用の土地):事業に使用していた土地については、400平方メートルまで80%の減額が適用されます。自営業や個人事業、家族経営の会社で利用していた土地に対して適用されます。


貸付事業用宅地(賃貸物件の敷地):賃貸物件として貸し出していた土地には、200平方メートルまで50%の減額が適用されます。ただし、賃貸事業が継続していることが前提です。


特に実家の相続がある場合は、適用を受けることで約100坪の敷地面積までなら評価を5分の1にする事が出来ます。


:被相続人が住んでいた自宅の土地330平方メートル、評価額が5,000万円の場合、小規模宅地等の特例を適用すると、評価額は20%の1,000万円に減額され、相続税の対象評価額が大幅に下がります。


2. 適用条件


小規模宅地等の特例は、すべてのケースで適用されるわけではなく、いくつかの条件があります。


居住用宅地の条件:

• 被相続人の配偶者が相続する場合、無条件で適用可能

同居していた子供などが相続し、特例の対象となる宅地等を相続税の申告期限まで所有・居住

• 別居している子供でも、被相続人が亡くなるまで同居親族がいないなどの特定条件を満たせば適用されるケースもあります。


事業用宅地の条件:

• 被相続人が事業に使っていた土地を、相続人がそのまま事業に使い続ける場合。

• 相続後も事業の継続が条件で、事業を廃業した場合には特例の適用外となる可能性があります。


貸付事業用宅地の条件:

• 相続時点で賃貸物件として貸し出していた土地であり、賃貸事業が継続されていること。

• 賃貸事業を停止したり、事業用から自用地に転用すると特例の適用外となることがあります。


3. 注意点と適用の制限


適用面積の上限:土地ごとに適用面積の上限が決まっています。例えば、居住用宅地では330平方メートル、事業用宅地では400平方メートルまでと定められており、これを超えた部分には適用されません。


複数の特例の併用:一つの相続に対して複数の宅地特例が利用できる場合もありますが、適用面積の上限を超えることはできないため、事前に確認が必要です。


適用の確定申告:相続税の申告時に特例を適用する旨を申告しなければ、減額は受けられません。専門家に相談し、正確に手続きすることが大切です。


ーまとめー


実家の相続では同居が要件(配偶者が相続する場合は無条件)となるケースがあります、たとえば、兄が親と同居していたが、相続するのは別居している弟の場合などは注意が必要です。


同居が要件となるケース


同居していた相続人がいる場合:被相続人(亡くなった親)と同居していた相続人が、そのまま実家に住み続ける場合に適用されます。相続税の申告期限(相続発生から10か月)まで特例の対象の宅地を所有し、住み続けなければ特例を受けることはできません。すぐに転居してしまうと特例が適用されないことがあります。


同居していない子供が相続する場合の例外:別居している子供が相続する場合、他の同居親族がいない・相続開始前3年以内に自己または自己の配偶者の持ち家に住んでいない等の要件を満たせば適用されるケースもあります。ただし、通常は同居していない相続人には適用されにくいため注意が必要です。


相続の面では同居にはメリットがあり、『小規模宅地等の特例』が適用されると、相続税の負担を減らせる可能性もあります。親御さんにとっても、家族と過ごせる安心感が心の支えになるでしょうし、何かあった時の対応もスムーズです。


親御さんとの大切な時間を一緒に過ごしながら、安心できる環境を築くためにも、同居を検討してみてはいかがでしょうか?

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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 代表社員 棚原 良太