相続・資産承継コラム

「不動産が資産の多くを占めている方へ」—相続税の納税資金、準備はできていますか?

2024年12月08日 15:52

もしあなたの大切な財産が、不動産に大きく偏っている場合、相続税の納税資金をどう準備するかは非常に重要な課題です。


不動産は現金のようにすぐに分けられるものではありません。売却には時間がかかり、相続が発生した後、納税期限である10ヶ月以内に納税資金を準備する必要があります。この期間内に遺産分割協議、名義変更(登記)、測量、さらには老朽化した建物の解体工事などが必要になる場合もあります。これら手続きをした上で10ヶ月以内に不動産売却を完了しなければなりません。



例えで考えてみましょう


不動産を納税資金に変えるというのは、ちょうど「大きな氷の塊を溶かして飲み水を確保する」のに似ています。氷を溶かすには時間が必要です。しかし、相続税の納税期限は待ってくれません。時間が足りないと、火を急いで当てて氷を溶かし、結果的に良い氷(財産)を無駄にしてしまうような状況に陥ることがあります。つまり、不動産を急いで売却すると、本来よりも安い価格で手放さざるを得ない可能性が高くなるのです。



期間に追われた売却のリスク


以下のような状況が起きる可能性があります:


売却価格の低下:市場価格よりも安く手放すことになり、資産の価値を十分に活かせません。

時間の不足:買い手が見つからない場合や、登記や測量が間に合わない場合、納税期限に遅れるリスクがあります。

精神的負担:時間的プレッシャーの中で家族がストレスを抱え、相続人間の関係が悪化することもあります。



どう対策すれば良いのか?


1. 生前に現金化を検討

不動産の一部を売却し、現金を手元に残しておくことで、相続税の納税資金を確保しておきます。


2. 生命保険の活用

被相続人が生命保険に加入しておくことで、保険金を納税資金として利用できます。生命保険金には非課税枠もあるため、相続税対策に有効です。


3. 遺産分割計画の事前準備

専門家のアドバイスを受けながら、誰がどの財産を受け取るか、分割計画を立てておきましょう。


4. 相続税の試算

専門家に相談して、相続税の概算額を把握することで、必要な資金を事前に準備できます。



ーーまとめーー

不動産が資産の多くを占めている方は、相続税の納税資金を現実的にどう準備するか、早めに考えることが大切です。相続が発生してからでは時間が限られ、結果的に大切な不動産を思うように活かせなくなるリスクがあります。

「備えあれば憂いなし」の精神で、ぜひ家族や専門家と相談し、後悔のない相続計画を進めていきましょう。

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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太