相続・資産承継コラム

相続登記の義務化について

相続登記の義務化について

2024年10月24日 11:07

令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。


  1. 相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

  2. 遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

 (1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

 なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。

(※)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。

(※)法務局ホームページから引用


さて今年の4月から始まっている相続登記の義務化ですが、なぜ義務化されたのでしょうか?


今までは相続登記をしてもいいし、しなくてもいい、各個人の判断に任されている状況でした。


相続登記が義務化された背景には、長年の間に蓄積された相続未登記の問題が関係しています。

具体的には以下のような理由が考えられます。


1. 未登記の土地の増加による社会問題

相続登記が行われないまま、所有者が不明な土地や建物が増え続ける問題がありました。
所有者不明土地は日本全国で増加し、特に地方や過疎地では、そのような土地が管理されず放置されるケースが多く見られました。その面積は九州全体を超える面積になっています。これにより、土地の有効活用が難しくなり、地域の活性化や都市計画にも支障が出る状況が生じました。


2. 相続未登記によるトラブルの防止

相続登記が行われないと、次の世代に渡ってもそのまま放置されることが多く、数世代にわたって相続人が不明確になるケースがありました。これにより、相続人間で財産の所有権を巡る争いや、相続登記を遅らせることによるトラブルが増加しました。相続登記の義務化により、早期に登記を行うことで、将来的なトラブルを未然に防ぐことが目的です。


3. 行政コストの削減と土地の管理効率向上

所有者不明土地は国や地方自治体が公共事業や土地の管理を行う際に大きな障害となります。所有者が不明なために、土地の買収や管理が進まない、もしくは費用や時間がかかる問題がありました。相続登記を義務化することで、土地の所有権を明確にし、行政コストを削減し、効率的な土地管理が可能になることが期待されています。


4. 土地の有効活用と地域の活性化

未登記の土地が増えると、その土地の有効活用が難しくなり、地域の活性化が遅れることがあります。土地所有者が明確でないと、企業や自治体がその土地を活用しにくくなり、経済活動や地域の再開発にも悪影響を与える可能性があります。相続登記を義務化することで、土地の利用が促進され、地域の経済や活性化に寄与することが期待されています。


5. 所有者の権利保護

相続登記が未了のまま放置されると、相続人自身の権利も曖昧になり、他人がその土地を利用するリスクや、悪意のある第三者による不正利用のリスクが高まります。義務化することで、相続人の権利が法的に守られ、土地や財産の適正な管理が保証されます。


これらの理由から、2024年4月に相続登記が義務化されました。


相続登記は所有者を明らかにする大事な手続きです。


相続に関するお悩みやご不安があれば、ぜひご相談ください。相続登記の義務化や税務対策、遺産分割について、専門的な視点から丁寧にサポートいたします。どんな小さなことでも、早めに対応することで将来のトラブルを未然に防ぐことができます。ご家族のため、そしてあなたの安心のために、今から一緒に最適な相続対策を考えてみませんか?お気軽にお問い合わせください。

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合同会社エボルバ沖縄 代表社員 棚原 良太