相続・資産承継コラム

資産管理法人ってなんだ!?所得分散と社会保険の活用術

2024年12月29日 14:01

「資産管理法人を活用した相続・資産承継:メリットと注意点」


相続や資産承継の場面で、「資産管理法人」を活用するケースが増えています。この方法は資産や収益の管理を法人に移すことで、税制上や社会保険上のメリットを得られる可能性があります。ただし、活用方法や目的はケースごとに異なるため、慎重な検討が必要です。基本的な法人活用のメリットを解説していきます。


1. 所得分散を狙った法人活用


資産管理法人の活用でよく見られるのが、所得分散の目的です。例えば、収益物件からの賃料収入が父親に集中し、その結果、所得税率が高くなっている場合を考えてみましょう。この場合、不動産の所有を法人に移し、法人の所得として管理することで、次のようなメリットが生まれます。


法人から役員報酬として配偶者や子供に支払う

 これにより、家族全体で所得を分散し、結果的に所得税の負担を軽減することが可能です。


たとえば、贈与税は年間110万円を超えると高い税率が適用されますが、法人を活用することで合法的に利益を配分できる仕組みが作れます。ただし、収入の額や家族構成によっては、生前贈与を活用した方が有利になる場合もあります。



2. 社会保険の適用を狙った法人活用


もう一つの狙いとして挙げられるのが、社会保険への切り替えです。具体的には、配偶者や子供が国民健康保険に加入している場合、法人からの役員報酬によって給与所得扱いとなり、社会保険(社保)への切り替えが可能になります。


国保と社保の違い

 社保に加入することで、保険料が収入に応じて計算されるため、高額な医療費が発生した場合でも手厚い保障を受けられる可能性があります。この点で、家族全体の生活の安定にもつながるでしょう。



3. 法人活用の注意点


資産管理法人を活用する際には、次の点に注意が必要です。


1. 法人運営のコスト

 法人設立後は、定期的な決算や税務申告、社会保険料の負担が発生します。目先の節税だけに目を向けず、法人運営にかかるコストを考慮することが大切です。


2. 将来の事業承継

 法人に収益物件を移した場合、その法人自体の承継方法を事前に検討しておく必要があります。適切な事業承継計画がないと、次世代への資産承継が複雑化する可能性があります。


3. 専門家との相談が不可欠

 法人の活用方法や適用できる税制は、家庭ごとの状況や収益構造によって異なります。税理士や弁護士、不動産の専門家と連携しながら検討することが不可欠です。



まとめ:資産管理法人の活用は計画的に


資産管理法人の活用は、相続税対策や家族の生活基盤の安定化に役立つ一方で、法人運営に伴うコストや煩雑な手続きが発生します。これらの利点とリスクを正確に把握したうえで、最適な選択を行うことが重要です。


特に「所得分散」と「社会保険の適用」という2つのポイントは、家族の収益構造や生活設計によって大きく変わるため、単に節税効果だけを求めるのではなく、将来を見据えた計画を立てることが求められます。


資産管理法人の導入を検討する際は、まずは専門家に相談し、最適な活用法を模索してみてはいかがでしょうか?

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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太