立ち退き後に建てた家、建て替えや売却時に必要な手続きとは?
2024年12月26日 03:36
「特別な許可で建てた建物の注意点:建て替え・売却時に確認すべきポイント」
立ち退きや収用事業の際に特別な許可を得て建てた建物について、周囲にこういった物件を所有している方がいる場合、注意が必要です。これらの建物が立っている場所は、多くの場合、市街化調整区域と呼ばれるエリアです。このエリアでは、原則として建物を建てることが認められていません。
しかし、立ち退きなどの特別な事情がある場合に限り、開発許可を得て例外的に建設が認められるケースがあります。この許可には属人性があり、「特別な事情を持つその人だけ」に許可が与えられる性質を持っています。つまり、元の所有者の事情に基づいて建てられた建物であり、所有者が変わる際には再び注意深く手続きを進める必要があります。
建て替えや売却の際の注意点
1. 名義変更や建て替えに伴う申請の必要性
建物を建て替えたり、第三者に売却する場合、新しい所有者が元の許可を引き継ぐためには、新たな許可申請が必要になります。この申請は、特別な許可を「新しい人に移しても良いか」を自治体に確認してもらう手続きです。
2. 新所有者の要件
許可が新しい所有者に移るかどうかは、その人が次の条件を満たすかにかかっています:
• 他に建物を建てられる土地を持っていないか?
• 住宅が必要な明確な理由があるか?
• 他の不動産資産を保有していないか?
3. 譲渡側の要件
許可を譲り渡す元の所有者についても、次の条件を満たしている必要があります:
• 建物を10年以上適正に利用していたか?
• 許可を譲ることに社会的に納得できる理由があるか?
具体例:子供への建て替えや売却の場合
たとえば、立ち退き後に特別な許可を受けて建てられた家を親が所有しており、その子供が建て替えを希望する場合、まず自治体に対して「子供に許可を移すことが可能か」を確認する申請が必要です。
また、第三者への売却を検討する場合、新しい所有者も同様に自治体から許可を得なければなりません。この場合、買い手の条件が厳しくなるため、売却がスムーズに進まないリスクもあります。
なぜ注意が必要なのか?
こういった許可は元の所有者の特別な事情を前提として与えられているため、無条件に他者へ移行することはできません。許可の条件や地域のルールを無視して手続きを進めると、最悪の場合、新しい所有者が建物を建てる権利を失うこともあり得ます。
昔の不動産売買の現場では、特別な許可(開発許可)の引き継ぎ手続きを行わずに売買が行われていたケースがありました。これは、所有権移転そのものには開発許可の引き継ぎが影響しないため、手続きが見過ごされていたことが原因です。
しかし、その結果、購入した人が何十年も後になって建て替えをしようとした際に、「特別な許可が引き継がれていない」という理由で建て替えができない事態に陥ることがあります。このようなケースは、30~40年後に予想もしなかったトラブルを引き起こしてしまうのです。
現在の不動産業界では、こうしたミスがないよう十分に注意が払われてると信じていますが。しかし、買い手である皆さんも知識を身につけ、特別な許可が必要な不動産については事前に確認を行うことが大切です。
特に、以下の点に注意してください:
• 特別な許可を得て建てられた建物かどうか
• 許可の引き継ぎ手続きが完了しているか
• 将来的に建て替えや売却の際に問題がないか
こうした確認を怠ると、後になって大きなトラブルに発展する可能性があります。不動産は一生に一度の大きな買い物です。皆さん自身が注意を払い、信頼できる専門家と共に事前にしっかり確認することで、安心して暮らせる未来を守りましょう。
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相続・不動産の相談窓口 合同会社エボルバ沖縄 棚原 良太